航空局から小型機運航者の皆様へ(第40号:令和2年12月)
(一社)日本航空普及協会 会員 各位
いつも世話になっております。
国土交通省航空局 安全部運航安全課より、冬季運航での注意点について以下お知らせがありました。
周知いただきますよう宜しくお願い致します。
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一般社団法人 日本航空普及協会
事務局
〒107-0052
東京都港区赤坂9-6-28 #203
TEL.03-5843-9332
MAIL.fly@japanasa.aero
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操縦士の皆様へ
航空局では、自家用機を含む小型航空機の更なる安全性の向上に向けた取り組みを進めております。
今般、登録いただきましたメールアドレスあて、操縦士への直接的な安全啓発や情報発信の機能強化として、以下の情報を配信しますので、
日々の安全運航の一助となりますようご活用いただければ幸甚です。
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~航空局からのお知らせ~
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[2020年12月14日]
★冬季運航での注意点~CO(一酸化炭素)中毒~航空局 航空従事者試験官
冬になると時々目にする「一酸化炭素中毒」の記事、締め切った部屋でストーブや火鉢などを使用すると、これに陥る危険性があることは
良く知られています。
さて、皆さんが乗られる飛行機やヘリは、どうでしょうか。ご自分の機体の暖房がどのように空気を暖めているか、ご存知でしょうか。
タービン機の場合はエンジンの抽気で暖房をするのが一般的ですが、ピストン機(特に単発機)では飛行機もヘリもエンジンの排気ガスと
外部からの導入空気との熱交換で暖気を獲得しているのが一般的です。
冬季運航では当然この暖房装置を入れて運航するわけですが、もし、この排気ガスが漏れて導入空気に混入したらどうなるでしょうか。
先ごろ、オーストラリア航空局はこの危険性について注意文書を運航者や整備関係者に向けて出しました。事故調査で乗員の血液を調べた結果、
CO濃度が高かった例がいくつか見つかったとのことです。CO中毒になると、血液中のヘモグロビンが酸素を取り込めなくなる等の原因により、
低酸素症と同じような状態になるのはご存知のとおりです。CO中毒になると判断力が鈍り、重症化すると意識を喪失して死に至ります。
一般に初期症状では頭痛や吐き気が起こるとも言われていますが、比較的症状が軽いため、CO中毒を疑う頃には体が動かなくなっていると
言われています。
では、運航者の私たちはどのようなことに気をつければ良いのでしょうか。
【注意点1】運航中暖房を入れた状態で変な匂いはしませんか。
CO自体には匂いはありませんが、排気ガスには匂いがあります。変だなと思ったら放置せずに暖房を止めて、飛行を中断して整備士に相談
しましょう。
【注意点2】地上での運航では風向きに注意しましょう。
追い風や横風を受けての長時間のタクシーやエンジンランナップは、自機の排気を取り込むおそれがあります。ランナップでは少しでも
風上に向けるように気を付けましょう。また、タクシーにおいてはどうしても追い風や横風の状況になるため、一時的に外気導入を減少
させるなど、注意が必要です。このような状態でのCO取り込みは、冬季だけでなく、どのような季節でも起こります。
【注意点3】他機の排気を避けましょう。
【注意点2】自機の排気を取り込んでしまう危険性について述べていますが、当然他機の排気も危険です。風向きに注意して、間隔を取る
などして他機の排気をなるべく取り込まないように注意しましょう。
ちなみに、前出のオーストラリア航空局の安全情報ではCO検出器の携帯を推奨しています。
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国土交通省 航空局 安全部運航安全課
MAIL:hqt-kogataki@mlit.go.jp
TEL:03-5253-8111
小型機安全対策係(内線50135)
技能審査係(内線50136)
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